この夫婦どうなっちゃうの?
っていうのが観終わった第一声でした。
静かだけど、凄まじい映画。
邦題「さざなみ」のイメージから、優しい感じの映画かと思いましたが、全く違いました。原題は「45 Years」。
結婚45年目に発覚した夫の秘密により、円満な熟年夫婦に大きな亀裂が…。
その秘密が辛すぎる…。
今回は、映画「さざなみ」(2015年・イギリス)についてです。
妻役シャーロット・ランプリング、夫役トム・コートネイ。
結婚45周年に知った夫の秘密とは…
夫宛に手紙が届きます。そこには、ある女性の遺体が山で発見されたと書かかれていました。
その女性とは、夫の元恋人です。
なぜ夫宛に手紙が来たのか?それは山に宿泊する際に、恋人だと泊めてもらえず、夫婦だと信じ込ませていたから。
そして二人が山道を歩いている時に、山の裂け目に元恋人の女性が転落死してしまったのです。
その手紙が来てから夫の様子のおかしさに妻は気付きます。
夫は夜な夜な、妻が寝た後に屋根裏部屋へ行き、元恋人の写真や日記を眺めて思い出に浸っていたのです。
妻は夫の留守中に屋根裏部屋へ行きその事実に気付くのですが、その写真を見て絶句します。
なんと、元恋人のお腹が大きかったのです。
つまり、多分、お腹の赤ちゃんと共に女性は亡くなってしまったのです。
悲惨すぎる事実に困惑します。
その赤ちゃんは夫の子なのか?という疑問も。きっとそうでしょう…。
妻は結婚45年目にして夫の悲しい過去を知ることになったのです。
ちなみにこの熟年夫婦には子供はいません。
妻は夫に聞きました。
「もし当時の恋人が生きていたら結婚していた?」
夫は「結婚していた」と答えます…。
色んな事実が複雑に絡み合い、妻の心は動揺を隠せません。
その秘密に耐えられるか?
妻が夫の秘密を知ったのは、結婚45周年パーティーを開く直前でした。
それでも妻は周囲にはバレたくないと言い、パーティーを強行します。
しかし、夫のスピーチを聞いても、夫と思い出の曲でダンスを踊っても、心はザワザワ…。
ラストシーンの妻の表情が痛いほど気持ちを表していました。
この事実を受け入れられるのか?
この先も夫と一緒に居られるのか?
45年間の愛は偽りだったのか?
夫は上手くやっているが、自分は耐えられない…。
この夫婦の結末はいかに…?
観る者にゆだねられて映画が終わります。
感想
いや~秘密が重たくて辛かった。
妻としてはできれば一生知りたくなかったですよ。
あるいは、その秘密を知た上で、もっと愛が深まるのか…?
私の予想では、この熟年夫婦はきっとこの先も二人で生きていく気がする。
妻の気持ちは冷めたまま…。
それは悲しいけど、強い女性なので、新しい関係を築けそう。
夫が元恋人の写真や思い出を封印してくれるなら…。
受賞
トム・コートネイとシャーロット・ランプリングが、第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞を受賞。
シャーロット・ランプリングが、第88回アカデミー賞の主演女優賞にノミネート。
シャーロット・ランプリングは芯があるけど抑圧されてるような、不安な表情が素晴らしかった。とても美しくて色っぽかったです。
原作
In Another Country: Selected Stories
映画「さざなみ」の原作は、デヴィッド・コンスタンティンの短編小説『In Another Country』。
観た後のモヤモヤ~が楽しめる方におすすめです。